2007-08-31 [Fri]
書くかどうか悩んだ子猫キョーヤ視点の番外編。
番外編といいながら本編の内容がっつり入っているので5と6との間だと考えてもらえたら幸い。
どれくらいの人が目を通してるのか未知数なので、もう木花の気が済むまで突っ走ろうと思います。(苦笑)
御付き合いいただけたら幸い。
↓
↓
番外編といいながら本編の内容がっつり入っているので5と6との間だと考えてもらえたら幸い。
どれくらいの人が目を通してるのか未知数なので、もう木花の気が済むまで突っ走ろうと思います。(苦笑)
御付き合いいただけたら幸い。
↓
↓
ぼくは猫だ。それも一般的に子猫と言われる未熟な体をしている。
ぼくの記憶でもっとも古いものは、親猫の記憶でもなく、兄弟猫とじゃれあったものでもなく、ダンボールと言われる箱の中で丸まっていた頃のものだ。
悲しいことなのか、ぼくには近くに感情を訴えられる存在は今のぼくの飼い主(マスター)が初めてだった。それでもマスターは人間だから、上手く意思疎通できたことがない。
ぼくは自分が考えていることが正しいのか判断する手段を持っていなかったけど、でもそれが正しいということを知っていた。これって本能なのかな?
ぼくは自分が猫であることを自然に自覚していたし、マスターとは種族が違って完全にぼくが考えていることが伝わるとは思ってなかった。知っていたんだ。
うーん、何だか難しくて理解するのが面倒になってきたかもしれないね。簡単に言えば、猫のぼくだって物は考えられるんだよってこと。だから、いつもブツブツ言ってるマスターの呟きにも静かにツッコミを入れてたんだ。
こんなこと知ったらマスター吃驚するだろうな。
ぼくはマスターに「キョーヤ」って呼ばれてる。何でそう呼んでいるのか知らないけど、ぼくの名前を呼んでくれるマスターの声は大好きだ。
くりくりした栗色の目を細めて、穏やかに手招きするマスターにぼくは逆らえない。
毎朝の大声は正直吃驚するから好きじゃないんだけど、その後ご飯のときに「ごめんね」って言ってくれるからぼくは小さく非難の声を上げるだけで我慢してしまう。
マスターは大声に耳を伏せるぼくを見て、その日のぼくの体調を見てるみたい。ぼくの調子が悪くてクッテリしてるとマスターはすぐに大声をやめてたからね。できれば第一声を上げる前に気付いて欲しいな。
ぼくの住処は大体マスターしかやってこないんだけど、たまに銀髪の人がやってくる。この人はぼくがこの住処にやってくるきっかけのときにお世話になった人らしい。マスターがこの人と話しこんでいるとき、ぼくは銀髪の人の膝に乗せられている。
ぼくは居心地のいいところなら何時間でもまどろむことができるけど、この人の膝の上はマスターのより広く大きいので安定しててきらいじゃない。特に退く理由がないからそのまま撫でられるままになっている。
ぼくは人嫌いをする猫じゃないんだ。ただ、それだけ。
ある日、マスターが水場に行っちゃってぼんやりしていたら、いきなり窓辺からガリガリという音が聞こえてきて吃驚した。そっちを見たら、銀の毛並みのきれいな猫がいてもっと吃驚した。
ぼくはこの時初めて同族を見たんだと思う。そして、ぼくは今まで自分を猫だと思い込んでいたことを知った。
「私の声が聞こえますかキョーヤ?」
「え、えっと…あなたは?」
「私は近隣の人間からキリヒトと呼ばれている猫です。そして貴方の同族でもある」
それは見ててわかるんだけど…と思っていることがわかったのか、キリヒトは否定するように目をぎゅっと瞑っった。
「貴方は普通の猫ではありません」
「どういう…こと?」
「唯の猫は私たちのように複雑に物事を考えることがないということですよ。貴方は不思議に思ったことがありませんか?なぜ自分は猫なのに異種族の人間の言葉を理解できるのか。猫と言う本能に忠実な生き物のわりに理性的に振舞えるのか。貴方も猫じゃらしを揺らされても飛びつかなかったクチではありませんか?」
う…前マスターに猫じゃらし振られてちっとも反応しなかったら、しょぼんとされたことがあったのが頭をよぎった。しょんぼりしてるマスターの方がよっぽど小動物めいて見えたことは秘密だ。
「貴方はまだ成体ではないのでそこまで自覚がないのでしょうが…貴方がそのまま人間と一緒に生活していくには大きな障害が待ち受けています」
「そんな!マスターと一緒にいられないの!?」
「まったく不可能というわけでないでしょうが…悩み苦しむ可能性は大きいでしょう。貴方と飼い主、双方ともね」
「私はただ忠告しにきたのです」
銀の猫が重々しく口を開こうとしたとき、突然物音がした。マスターが水場から上がってきたんだ!!
銀猫は短く舌打ちすると、素早く窓辺に飛び上がった。
「貴方が少年期から青年期に入ったとき」
つまり一人前に成ったとき、
「変化は訪れます」
「人との壁を貴方が超えられるか、それが鍵であることを忘れないよう!!」
そういってキリヒトは闇の中へ駆けていった。
ぼくはキリヒトの「予言」がなんなのか恐ろしくて、情けないけど体の震えがとまらなかった。
正直言ってキリヒトの話した内容はちっとも理解ができなくて、でも胸をえぐられるような事実が含まれているような気がした。
ぼくは大人になったとき、どんな変化が起こってしまうんだろう?
そしてその結果、マスターはどうなるんだろう?
こわいよ…。マスター…。
**
物思いに耽る子猫の心境。
ぼくの記憶でもっとも古いものは、親猫の記憶でもなく、兄弟猫とじゃれあったものでもなく、ダンボールと言われる箱の中で丸まっていた頃のものだ。
悲しいことなのか、ぼくには近くに感情を訴えられる存在は今のぼくの飼い主(マスター)が初めてだった。それでもマスターは人間だから、上手く意思疎通できたことがない。
ぼくは自分が考えていることが正しいのか判断する手段を持っていなかったけど、でもそれが正しいということを知っていた。これって本能なのかな?
ぼくは自分が猫であることを自然に自覚していたし、マスターとは種族が違って完全にぼくが考えていることが伝わるとは思ってなかった。知っていたんだ。
うーん、何だか難しくて理解するのが面倒になってきたかもしれないね。簡単に言えば、猫のぼくだって物は考えられるんだよってこと。だから、いつもブツブツ言ってるマスターの呟きにも静かにツッコミを入れてたんだ。
こんなこと知ったらマスター吃驚するだろうな。
ぼくはマスターに「キョーヤ」って呼ばれてる。何でそう呼んでいるのか知らないけど、ぼくの名前を呼んでくれるマスターの声は大好きだ。
くりくりした栗色の目を細めて、穏やかに手招きするマスターにぼくは逆らえない。
毎朝の大声は正直吃驚するから好きじゃないんだけど、その後ご飯のときに「ごめんね」って言ってくれるからぼくは小さく非難の声を上げるだけで我慢してしまう。
マスターは大声に耳を伏せるぼくを見て、その日のぼくの体調を見てるみたい。ぼくの調子が悪くてクッテリしてるとマスターはすぐに大声をやめてたからね。できれば第一声を上げる前に気付いて欲しいな。
ぼくの住処は大体マスターしかやってこないんだけど、たまに銀髪の人がやってくる。この人はぼくがこの住処にやってくるきっかけのときにお世話になった人らしい。マスターがこの人と話しこんでいるとき、ぼくは銀髪の人の膝に乗せられている。
ぼくは居心地のいいところなら何時間でもまどろむことができるけど、この人の膝の上はマスターのより広く大きいので安定しててきらいじゃない。特に退く理由がないからそのまま撫でられるままになっている。
ぼくは人嫌いをする猫じゃないんだ。ただ、それだけ。
ある日、マスターが水場に行っちゃってぼんやりしていたら、いきなり窓辺からガリガリという音が聞こえてきて吃驚した。そっちを見たら、銀の毛並みのきれいな猫がいてもっと吃驚した。
ぼくはこの時初めて同族を見たんだと思う。そして、ぼくは今まで自分を猫だと思い込んでいたことを知った。
「私の声が聞こえますかキョーヤ?」
「え、えっと…あなたは?」
「私は近隣の人間からキリヒトと呼ばれている猫です。そして貴方の同族でもある」
それは見ててわかるんだけど…と思っていることがわかったのか、キリヒトは否定するように目をぎゅっと瞑っった。
「貴方は普通の猫ではありません」
「どういう…こと?」
「唯の猫は私たちのように複雑に物事を考えることがないということですよ。貴方は不思議に思ったことがありませんか?なぜ自分は猫なのに異種族の人間の言葉を理解できるのか。猫と言う本能に忠実な生き物のわりに理性的に振舞えるのか。貴方も猫じゃらしを揺らされても飛びつかなかったクチではありませんか?」
う…前マスターに猫じゃらし振られてちっとも反応しなかったら、しょぼんとされたことがあったのが頭をよぎった。しょんぼりしてるマスターの方がよっぽど小動物めいて見えたことは秘密だ。
「貴方はまだ成体ではないのでそこまで自覚がないのでしょうが…貴方がそのまま人間と一緒に生活していくには大きな障害が待ち受けています」
「そんな!マスターと一緒にいられないの!?」
「まったく不可能というわけでないでしょうが…悩み苦しむ可能性は大きいでしょう。貴方と飼い主、双方ともね」
「私はただ忠告しにきたのです」
銀の猫が重々しく口を開こうとしたとき、突然物音がした。マスターが水場から上がってきたんだ!!
銀猫は短く舌打ちすると、素早く窓辺に飛び上がった。
「貴方が少年期から青年期に入ったとき」
つまり一人前に成ったとき、
「変化は訪れます」
「人との壁を貴方が超えられるか、それが鍵であることを忘れないよう!!」
そういってキリヒトは闇の中へ駆けていった。
ぼくはキリヒトの「予言」がなんなのか恐ろしくて、情けないけど体の震えがとまらなかった。
正直言ってキリヒトの話した内容はちっとも理解ができなくて、でも胸をえぐられるような事実が含まれているような気がした。
ぼくは大人になったとき、どんな変化が起こってしまうんだろう?
そしてその結果、マスターはどうなるんだろう?
こわいよ…。マスター…。
**
物思いに耽る子猫の心境。
PR
COMMENT